詩集 絶望からの旅立ち 鈴木レイ共子 今日は明日へとつながって 未来へと続くものだと 漠然と信じていた あの日 突然「絶望」という 闇の底に突き落とされ 気がつくと 見るものすべてから 色が消え 黒いしずくがしたたり落ちて 死神が現れた 死神に魂を吸い取られてしまったのか 抜け殻になった私は ひざを抱えて座り込む 狂ってしまった 「時」の鼓動が 雨音と重なって 反響する 魂の存在を信じたい 生と死の境界線はあるのだろうか 見えない 聴こえない 触れられない ないないづくしのその狭間 研ぎすまされた感性の ゆらぎの中で思うこと 姿なき姿を見る心 声なき声を聴く心 もはや触れることのできないぬくもりを 感じる心 魂を感じる心があったなら 生と死のこのふたつの世界は 混ざり合う 生きていても魂が死んでいる人もいる 死んでしまっても その人の周りで活き活きと 生き続けている人がいる そんな魂の存在を 私は信じたい フォト:山田穗子 |