岬・・旅の終わり・・・       
ライダーの聖地とも言える宗谷岬に向う心に
一層の虚しさが広がり、
旅を終わりにした。

岬へと続く弓なりな海沿いの道の先、
そこに・・・宗谷岬が・・・・と、目にしたとたん
”大助が目指したであろう・・・この道” 
大助の思いを胸に抱き続け来たが、
辿り着く直前になって、
何かがはじけた。
海の色は明るくなって
波の白さもはっきりしてきたのに、
写真の大助は何も言わない。
心の中に大助が語りかけてくれることを
願った。
アリュウシャンブルーの海原に
三角錐のモニュメントがくっきりと見えた。
最北端の岬に着いたけれど・・・・
この瞬間を体験すべき存在が居ない事実が
辛くなる。
無性に大助を知る誰かと話がしたくて、
COたじま君に電話を掛けた17:25
「宗谷岬からだよ・・・・」涙で言葉にならない
日が傾き始め、光の道が海原に一筋・・・
モニュメントが指し示す遠い地を思う。
岬から逃げ出したい衝動、

宗谷岬から海岸線を東に下り
ピース号を走らせる。
北方の海の先から灰色の雲の塊が追いかけ、
背後に沈む夕日を飲み込んでしまった。
行く当てのなくなってしまった「旅」、
鉛色に変わってしまった空の下・・・・・
ただ・・・走り続ける。
クッチャロ湖畔に停泊する。
胸の痛みが残る重い体のまま毛布にくるまった
8月1日夜8時前・・・・・
2002年8月1日のこと
翌朝、涙が尾をひく・・・言葉少なく走り出す。

今・・・思えば・・・ほんのわずかな時間
暖かなオレンジ色の日差しを
いっぱいそそいでくれた・・・
恵みの太陽は、
大助の無言の語りかけではなかったか
稚内港から
南下途中で・・